書籍『法廷はことばの教室や! −傍聴センセイ裁判録』(2) 筆者:H・O
2013年8月5日
前回からの続き>

 本書の第2章にあたるのは「第2回公判 法とユーモア、法と方言」です。
 裁判とか法とかと聞くと、多くの人々はそこに厳粛なイメージを抱き、裁判にユーモアは不適切、裁判は正確な標準語によって論理的にすすめられるべき、と思っているかもしれません。しかし、裁判の当事者も、そして法律家だって生身の人間です。ユーモアによって心が開かれ、自分の言いたいことを述べることができることもあるでしょう。また、それぞれがいろいろな地に住み、日常的にはその地の方言を使っています。裁判所には、当事者が話す方言の趣旨を正確に理解した上で正しい判断をする努力が求められます。著者の札埜さんは、これまでの裁判での具体的事例、面白い事例も紹介しながら、裁判における言葉の持つ役割について問題提起しています。
 本書の第3章にあたる「最終弁論 法と教育」では、札埜さんが裁判を素材に教育してきた経験を紹介しています。裁判や法を通して高校生に豊な知性・感性を培って欲しいという気持ちが伝わってきます。
 
【書籍情報】
2013年7月、大修館書店が刊行。著者は札埜和男さん(高校教員)。定価は本体1,300円+税。