「裁判員経験者が増えることは社会をよくする」  
2014年12月22日
第11回裁判員制度フォーラム(11/23)
 「第11回裁判員制度フォーラム〜市民から見た裁判員裁判〜」が11月23日、お茶の水女子大学で開催されました。フォーラムの主催は「一般社団法人裁判員ネット」です。
 第1部のレポートセッションでは、裁判員ネットのスタッフから「裁判員制度の現状と課題」についてのレポートがありました。
 そこでは、裁判員制度のもとで量刑が検察官の求刑を上回る判決が出され、それを二審が支持する例もあったこと、裁判員が急性ストレス障害(PTSD)になり訴訟を起したこと、などの状況がが報告されました。
 また、裁判員制度の見直しに向けて裁判員ネットが「市民からの提言2014」を発表し、「裁判員制度市民検証委員会」(仮称)の設置などを提案していることが紹介されました。
 第2部のトークセッションでは、「市民から見た裁判員裁判」と題して、坂上暢幸氏(裁判員ネット理事)の司会のもと、裁判員経験者Kさん(2010年6月裁判経験、女性、当時専業主婦、子ども2人)が裁判員の経験談を語り、大城聡弁護士(裁判員ネット・代表理事)が、裁判員制度の解説などを行いました。
 Kさんは、最初に裁判所から通知が届いた時、実際に裁判員に選定された時、法廷、評議、記者会見、判決以降、それぞれの場面での心情を語りました。Kさんは、その経験の後、世の中の見方が変わったと述べました。Kさんはフォーラムの参加者からの質問に答えるなかで、裁判の評議内容は、発言者の個人が特定されなければ明らかになった方がよいとの意見を披露しました。また被告人について、その生まれ育った環境や親のことを知るにつけ、その犯罪を被告人個人だけに責任を負わせられないと思ったことや出所したあとに社会が受け容れる環境づくりが必要との意見を述べました。Kさんの「裁判員経験者が増えることは社会をよくすることになります」と言われた言葉は印象的でした。(T.S)