各政党が「司法改革」を訴える  
2013年7月15日
「市民の司法」編集部
 参議院議員選挙(7月21日投票)がたたかわれており、各政党は「司法改革」についても政策を提起しています。
 以下、各政党の公約の中の「司法改革」に関わる記述を紹介します。

<民主党>
●冤罪を防止するため、取り調べの可視化及び証拠開示の円滑かつ適正な手続きの確保をはかる刑事訴訟法の改正を進めます。

<公明党>
【国民に身近で頼りがいのある司法の実現】
●法曹養成制度の強化・充実
法科大学院を中核とする法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成を堅持しながら、制度の改善を図ります。そのため、地方の法科大学院や夜間開講へ支援、制度趣旨に沿った予備試験の適正化、司法試験の受験回数制限の緩和に取り組みます。また、法科大学院での教育と連携した司法修習制度の充実や、司法修習生の法的位置付けと経済的支援を図ります。さらに、裁判所や検察庁を含む国、地方自治体、企業による法曹資格者の積極的な採用の推進や国際貢献、国際交渉及び知的財産分野における法曹資格者の活用を促進するとともに、法務博士(法科大学院修了資格)の人材としての活用を進めます。これらの諸課題を含め、活動領域の拡大、法科大学院の定員削減、統廃合の促進など、今後のあるべき法曹人口・法科大学院の在り方について幅広い国民的意見を反映しうる省庁横断的な検討体制を内閣官房に設置します。
●裁判員制度の改善・充実の推進
裁判員制度の運用状況や裁判員経験者の意見も踏まえつつ、より良い制度として定着させるために、対象事件の見直し、重大事件における審理や裁判員裁判の控訴審のあり方、裁判員の守秘義務の軽減などについて検討を進め、裁判員制度をより充実したものとするための改善を推進します。
●全面的国選付添人制度の実現
少年事件には重大事件についてしか国選付添人が付いておらず、法的援助が不十分であることから、少年法を改正し、少年鑑別所に収容された全ての少年を対象とする「全面的国選付添人制度」を実現します。
●国民が利用しやすい民事訴訟制度の確立
民事訴訟や行政訴訟における証拠及び情報収集手続の拡充や、多数の被害者の権利行使を実現する集団訴訟制度(クラス・アクション)や簡易迅速な訴訟及び審判手続の導入、また提訴手数料の引き下げや判決の履行確保のための制度の改革などを推進し、国民が利用しやすい民事訴訟制度の確立に取り組みます。
●国民に開かれた行政争訟制度の構築
原告適格等の訴えの要件緩和や団体訴訟等新たな訴訟制度の創設を含む行政訴訟制度のさらなる改革を推進し、より国民に開かれた行政訴訟制度を創設します。また、行政不服審査制度についても、利用者である国民の利便性や審査の充実という観点から、国民にとって、より使いやすい制度に向けた見直しを検討します。
●弁護士が1人しかいない地域の解消
法テラスの司法過疎対策によるアクセス・ポイントの設置等を推進し、弁護士が1人しかいない「ワン地域※」を解消します。そのための財政支援も拡充します。
※ワン地域…地方家庭裁判所支部管轄区域を単位として、登録弁護士が1人しかいない地域。
●スタッフ弁護士の大幅増員
法テラスのスタッフ弁護士を大幅に増員するとともに、訪問・出張相談等を実施し、高齢者や障がい者などの司法アクセス困難者のための相談体制を整備します。併せて、若者や外国人向けの法律相談等のサービスを充実させます。また、対象が拡大した被疑者国選弁護制度に対応できる体制の整備を推進します。
●民事法律扶助の充実
経済的に余裕がない場合でも、適切に法的サービスが受けられる民事法律扶助をさらに充実させます。
●裁判官・検察官がいない裁判所・検察庁ゼロ支部の解消
国民の身近にあって利用しやすい司法制度の充実を図るため、裁判官ゼロ(判事・判事補非常駐)支部及び検察官ゼロ(検事非常駐)支部を解消します。

<みんなの党>
●取り調べの可視化を行うとともに、合理的な新しい捜査手法を制度化する。
●法科大学院のあり方についてゼロベースで見直しを図る。

<社民党>
●裁判員制度や法曹養成制度を司法制度改革の趣旨に沿って見直し、開かれた「市民の司法」を実現します。司法修習生への給費制復活を検討します。
●参考人も含む取り調べの全過程可視化と、検察側が有する全証拠開示を義務化します。事後的な検証を可能とするため、捜査時の試料等の保管を義務づけます。誤判原因を調査する機関の創設を検討します。
●国際潮流を踏まえ死刑廃止を含めた刑罰制度の見直しを行います。「死刑廃止条約」の批准を急ぐとともに、「拷問禁止条約」が遵守されるよう政府を監視します。いわゆる「代用監獄」の廃止など、被疑者・受刑者の人権確立に取り組みます。行刑施設を出所した者の再犯を防ぎ、社会への定着を促進するため更生保護のための施設や制度を強化します。少年犯罪については少年の特質を踏まえた教育・福祉的な対応を強めます。
●政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける「人権侵害救済法」を制定します。
●生命の尊重、身体の自由、思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、少数民族の権利などを定めた「国際人権規約B規約」の選択議定書を批准し、個人通報制度を設けます。
●これまでの法務行政を徹底的に見直し、存在が時代にそぐわなくなっている公安調査庁を廃止します。
●犯罪被害者の救済制度を充実・強化します。警察による相談機能の強化をはかります。