評議  
2009年11月16日
 評議とは、合議体の裁判で裁判官が行う会議のことです。評議は非公開であり、その経過、各裁判官の意見及びその多少の数については秘密を守らなければならない(裁判所法75条)、裁判官は評議で意見を述べなければならない(同76条)、評決は過半数の意見による(同77条)とされています。これらの規定は、評議が自由闊達に行われ、相互の説得活動で多数意見が形成されるよう配慮したものです。
裁判員裁判では裁判官と裁判員全員で評議を行いますが、法令解釈と訴訟手続については裁判官だけで評議を行い判断を示します。また、評決は過半数の意見によりますが、裁判官と裁判員の双方の意見を含まねばならず、裁判員だけの過半数では評決できません。裁判官は裁判員に対して、法令に関する説明を丁寧に行い、評議を分かりやすく整理し、裁判員が発言する機会を十分に設けるなどの配慮をしなければなりません(以上、裁判員法66条、67条)。
「評議の秘密」は裁判官同様、裁判員も遵守しなければなりませんが、これは評議の自由闊達さを確保するためのものであり、実際にも個々の裁判員をマスコミ等の取材攻勢から守る役割を果たしています。ただし、裁判を国民にわかりやすく身近なものにするという制度の意義から、各裁判員がその体験を積極的に語ることは重要であり、「評議の秘密」の適用は必要な範囲に限られるべきでしょう。