論稿「被疑者国選弁護制度の拡充」 筆者:T・S
2015年1月12日
 「法制審議会 ― 新時代の刑事司法制度特別部会」で検討された課題のうち、被疑者国選弁護制度の拡充についての高平奇恵・九州大学助教・弁護士の論稿です。
 この制度について「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(2013年1月)は「被疑者国選弁護の対象を被疑者が勾留されていた全ての事件について、(略)具体的検討を行う」とされていました。ところが特別部会やその分科会の審議の結果、全ての事件について、被疑者が弁護人の援助を受ける権利を保障する制度設計にはなりませんでした。この論稿は、その検討が公費負担の合理性や弁護士の対応態勢の問題に矮小化された経緯を解説しています。そして、被疑者国選弁護制度の拡充は公正な裁判を受ける被疑者の権利を実質的に保障する制度であり、憲法の要請であるということを改めて明らかにしています。

 この論稿は『刑事司法改革とは何か 法制審議会特別部会「要綱」の批判的検討』(2014年9月、現代人文社)に収載されています。