冤罪事件情報「あの事件はいま・・・」 筆者:S・K
2014年9月29日
 冤罪File21号では、「あの事件は今」と題して、第10号(2010年6月号増刊)以降扱ってきた主要な冤罪事件について、事件の概要や支援活動の現状、検察や裁判所がいかに不当な事実認定をしてきたかなど、事件のポイントを紹介しています。
 取り上げられている事件は、「北陵クリニック筋弛緩剤事件」「東住吉冤罪事件」「飯塚事件」「恵庭OL殺人事件」「東広島市OL暴行死事件」「大分清川女性撲殺死事件」「下関女児殺害事件」「特急あずさ窃盗冤罪事件」の8事件。いずれも重要証拠の認定に不可解な点があり、早急に再審をすべきように思われる事件ですが、再審請求準備中に死刑執行がなされてしまったり、納得できる理由が示されないまま再審請求が棄却されたり、再審開始決定がなされても即時抗告がなされ、既に2年間が経過しているといった状況です。
 当HPでも数々の冤罪事件に関する記事を紹介していますが、再審無罪判決が出される一方、圧倒的大多数は絶望的な状況です。冤罪事件は、闘いがあまりに長期間にわたるため、事件の存在そのものが社会から忘れられてしまう危険性もあります。しかし、冤罪事件は、無実の者が今なお、重大な人権侵害を受け続けている切実な問題です。事件を風化させない本誌の取り組みは大変意義のあるものだと思います。

この対談録は雑誌「冤罪File 21」2014年7月号増刊(希の樹出版)に収載されています。