書籍『裁判官の品格』(その1) 筆者:H・O
2014年2月17日
 
 多くの人が、裁判官は頭脳明晰で公平な判断をする人だと思っているようです。一方、裁判の当事者や弁護士などからは、多くの裁判官には常識が備わっていないという批判もよく聞きます。特に日本の刑事裁判では被告人の99.9%が有罪となっていることから、そこには刑事裁判官の正しくない姿勢があると指摘されます。実際はどうなのでしょうか。
 本書は裁判官や元裁判官がそれぞれどのような判断をする人なのかを明らかにしています。実際の裁判の判決や決定を辿るとともに、その裁判の当事者や弁護士、あるいは裁判官の司法修習生時代の同期生などの声を紹介し、できるだけ多くの人の評価を示す努力がなされています。裁判官として相応しいと思われる人が出てきて、信頼感を感じることもありますが、そういう裁判官は決して多数ではないことも述べられ、改革の必要性を実感することになります。
 今世紀に入って様々な司法制度改革が行われましたが、裁判官の養成や裁判官システムについての改革はあまり手がつけられなかったと言えるでしょう。裁判官の実際の姿を知った上で考える、そのための有益な本です。

<続く>
 
【書籍情報】
2013年11月、現代人文社から刊行。著者はジャーナリスト・池添徳明さん。定価は本体1,700円+税。
 
*以前、この本の著者・池添さんに当サイトで「裁判所・裁判官を市民が監視する」と語っていただきました。ご案内します。