書籍『私の最高裁判所論 −憲法の求める司法の役割』 筆者:H・O
2013年7月8日
 元最高裁判事・泉徳治さんの書です。
 泉さんは最高裁事務総局での経験も長く、そこで体験したこともふまえて裁判所と司法の改革について語られており、興味深い内容となっています。
 法曹養成制度改革については、法科大学院の定員を絞り、そこで真面目に勉強した者の大半が法曹資格をとれるようにするとともに、法科大学院を3年課程とし、各大学院と司法研修所が共同で教育に当たる、などの具体的な提言をしています。裁判員裁判については被告人が裁判員裁判と裁判官のみの裁判を選択できるようにすることも提起しています。また、裁判官の増員、グローバル時代に対応する司法への改革なども述べています。最高裁の機能に関わっては、一般法令違反審査機能、違憲審査機能それぞれの強化の課題について提起しています。
 明治憲法下で司法権の独立を目指した裁判官、戦後最高裁の誕生を担った人々を紹介し、また、最高裁で関わった事案とそこでの自身の判断についても紙面を割いており、読み応えのある書となっています。
 
【書籍情報】
2013年6月、日本評論社から刊行。著者は元最高裁判事の泉徳治さん。定価は本体2,800円+税。