論文「法曹養成・法科大学院制度」 筆者:H・O
2013年7月1日
 日弁連法務研究財団編『法と実務9』(司法改革の軌跡と展望)に収められた古口章弁護士の論文です。
 法科大学院制度が誕生して9年、司法試験の制度・内容も大きく変わりました。この法曹養成制度改革はこれまでどのような成果をおさめたのか、そこにはどのような問題点がありどう解決すべきか、などを明らかにする論文です。
 この論文は法科大学院を修了した新しい実務家の資質・能力には注目すべき点があるとし、今般の改革の意義を再確認する必要性を説きます。一方で、当初は、法科大学院でまじめに学習した者の7〜8割は合格できるような制度が構想されましたが、実際には、現時点では2〜3割しか合格できない状況などを指摘し、その抜本的改革の必要性と方策を提起しています。法曹関係者の内外に法科大学院制度それ自体の意義を否定する意見もありますが、この論文はそうした意見の問題点も厳しく指摘しています。
 また、司法試験のあり方の改革も提言しています。真に法曹に求められる能力・資質をどのように測るのか、その抜本的な検討が必要だと述べます。
 法曹養成のあり方は、法曹関係者以外の市民にはわかりづらいものです。法曹関係者には真に市民のためになる制度構築への取り組みを求めたいし、市民の側も関心を寄せておきたいものです。

 日弁連法務研究財団編『法と実務9』(司法改革の軌跡と展望)は2013年5月に商事法務から刊行されました(定価は本体3800円+税)。