書籍『被告人の事情/弁護人の主張−裁判員になるあなたへ』 筆者:H・O
2012年10月1日

 裁判員制度が施行となった日=2009年5月21日に刊行された本です。刑事事件・裁判とはどういうものなのか、裁判員にはどのように裁判に臨んで欲しいか、などを刑事事件の弁護人を担当してきた弁護士などが語っています。
 一口に刑事事件・裁判といってもいろいろです。強盗致傷罪が問われる裁判もあれば殺人罪や放火罪が問われる裁判もあります。有期刑が求刑される裁判もあれば、死刑が求刑される裁判もあります。被告人に責任能力があるといえるのかといった論点もあります。この本では各弁護士が実際の事件と弁護活動を報告しながら、そのような事件が裁判員裁判になる場合に裁判員に伝えたいことを述べています。そして、そのそれぞれに刑事法研究者や元裁判官などがコメントし、裁判員裁判時代における刑事司法のあり方が探られています。
 なぜ「悪い」人を弁護するのか?!―――この少なくない市民の疑問に対して、実際の刑事事件・裁判の現場からの「答え」が提示されている、と言えるかもしれません。

 
【書籍情報】
2009年、法律文化社から刊行。編者は村井敏邦氏(当時龍谷大学法科大学院教授。現在は大阪学院大学法科大学院教授)と後藤貞人氏(弁護士)。定価は本体2,400円+税。