座談会録「転機を迎えた刑事裁判」 筆者:H・O
2012年9月17日

 元裁判官である門野博氏、弁護士の佐藤博史氏、刑事訴訟法学者の指宿信氏による座談会です。
 足利事件、布川事件、東電OL事件などで再審無罪判決や再審開始決定が出されるなど、刑事裁判の様相が変わりつつあると言われています。3氏ともその変化を肯定する見方を述べています。そして、その変化の背景には裁判員制度の導入があると述べています。佐藤氏は「率直に言って、私は、制度がスタートする前は、経験豊富な三人の裁判官が素人の裁判員をコントロールするのではないかと危惧していました。しかし、結果的には、初めて刑事裁判と接する人と議論し、原点に立ち返って話し合わなければならないということが、非常に良い効果を生んでいる。六人という裁判員の数も絶妙だったと思います」との評価を明らかにしています。
 3氏は、裁判員制度の導入を重要な契機とする刑事裁判の変化が、証拠についての科学鑑定、証拠の開示などにも大きな影響を及ぼしていることも指摘しています。

 この座談会録は月刊誌「世界」(岩波書店)2012年9月号に収載されています。