書籍『検察 −破綻した捜査モデル』(その2) 筆者:H・O
2012年9月3日

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 第2章「『特捜検事の犯罪』はなぜ生まれたか」では、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件=村木事件が生じた原因・背景に肉薄しています。そして、裁判員制度の導入によって、裁判所が検察に厳しいスタンスを取るようになってきている状況を直視する必要性を指摘しています。
 第3章「『国策捜査』はあるのか」は、そもそも国策捜査とは何か、その歴史的経緯、などを明らかにしています。とくに官僚機構の中で大蔵省(現在の財務省)の権威が低下していることに伴い、検察の役割が大きく変化しつつある状況の分析を試みています。
 第4章「『小沢捜査』はなぜ批判を浴びたのか」は、民主党の元代表・小沢一郎氏をめぐる政治資金規正法違反事件に対する東京地検特捜部の捜査がいかに緊張感にかけ、杜撰なものであったかを明らかにしています。この問題では検察審査会の議決による起訴がおこなわれましたが、検察審査会制度の意義と改革課題も提起しています。

<続く>

 
【書籍情報】
2012年8月、新潮社から新潮新書として刊行。著者は村山治さん(朝日新聞編集委員)。定価は740円+税。