論文「裁判員法の見直しについて」 筆者:H・O
2012年7月9日

 裁判員法の見直しのいくつかの重要課題について論及する論文です。
 まず、法令の適用と刑の量定は裁判員裁判に適していないとし、裁判員裁判は事実認定のみにすべきと提起しています。
 そして、裁判員裁判を選ぶか、裁判官による裁判を選ぶかの選択権を被告人に与えるべきこと、裁判員裁判への被害者の参加には必要な制限が加えられるべきこと、裁判官の裁判員への説示の内容は弁護人などの意見もふまえて行われるようにすべきこと、裁判官・裁判員合わせて2人の反対があれば被告人に不利な評決を出せないようにすべきこと、死刑判決は裁判官・裁判員全員一致を要件とすべきこと、無罪判決に対して検察官が上訴することは禁止されるべきこと、等々のことも提起されています。
 裁判員制度をよりよいものにするための具体的改革課題と抜本的な見直し課題が冷静に考察されています。

 
【論文情報】
村井敏邦古稀記念論文集『人権の刑事法学』(2011年、日本評論社)に所収。筆者は浅田和茂・立命館大学教授。