論文「陸山会事件第一審判決をどう見るか − 『推認』有罪の説得力を問う」 筆者:H・O
2011年11月14日

 小沢一郎・元民主党代表の元秘書が西松建設から寄附を受け、小沢一郎氏の資金管理団体=陸山会等の収支報告書にその寄附を記載しなかったこと、また元秘書が、陸山会が小沢一郎氏から借り受けた4億円を収支報告書に記載しなかったこと、などが政治資金規正法に違反するとして起訴され、今年9月26日、この裁判の第一審判決で元秘書らが有罪となりました。
  小沢一郎氏は以前、水谷建設からヤミ献金を受け取ったとの疑惑を持たれましたが、検察はこの件で小沢一郎氏を起訴することができませんでした。ところが、今回は前述のような裁判であるにもかかわらず、検察官は水谷建設の問題を持ち出し、こともあろうに裁判所がその検察官の主張を採用し、その結果元秘書が有罪となりました。
  この論文はこうした問題点をはじめとする、この裁判の不可思議さを明らかにしています。そして、小沢一郎氏と企業の癒着は証拠と適正な手続きによって解明・判断されなければならず、なんとも杜撰なこの裁判は司法の本来の役割を逸脱しているのではないかと指摘しています。

 
【論文情報】
月刊誌「世界」2011年12月号に収載。筆者は白取祐司・北海道大学教授(刑事訴訟法)。