論稿「もんじゅ訴訟と福島第一原発事故」 筆者:H・O
2011年7月4日

 2003年1月27日、名古屋高裁金沢支部は高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の安全審査には審査基準違反の重大な誤りがあってとして、原子炉設置許可処分を無効とする、住民勝訴の判決を言い渡しました。ところが、2005年、最高裁はこの判決を覆し、住民は敗訴となりました。
  筆者の吉村悟弁護士(福井弁護士会)は、伊方原発訴訟最高裁判決(1992年)が「原子炉等規正法は万が一にも原子炉災害が起こらないようにする」という観点から安全審査されるべき、としてことを強調しつつ、もんじゅ訴訟での最高裁判決を批判します。そして、福島第一原発事故についても、その安全審査基準において、津波の想定などに誤りがあったことなどを指摘し、全国の原発の設置許可処分の法適合性判断に重大な疑問があると警鐘を発します。
  原発事故問題に対する司法の責任も問われるべきことを、あらためて主張していかなければなりません。

  この論稿は青年法律家協会弁護士学者合同部会発行「青年法律家」(2011年6月25日号)に収載されています。