取調室にシナリオは要らない  
2014年3月31日
取調べの可視化を求める市民集会
 3月25日、日弁連が「取調べの可視化を求める市民集会」を開催しました。
 警察・検察は被疑者の取調べにあたって“シナリオ”を用意し、それに沿った供述を引き出すことを重視します。取調べが密室で長時間行われ、その結果少なくない被疑者が嘘の自白をさせられてしまっています。そうした状況をなくすには、取調べの全過程の録音・録画(=可視化)が必要だと訴える集会です。
 集会では、患者の爪をはがしたと誤認され、逮捕された、北九州の病院の看視師・上田里見さん(二審で無罪となり確定)などが実際に取調べられた経験を報告し、その後パネルディスカッションで、法制審議会の特別部会の委員である周防正行さん(映画監督)らが部会での取調べの可視化などの検討状況について語りました。
 取調べの可視化は、密室での強引な取調べによる冤罪防止への大きな一歩になると思われます。ただ、警察関係者などは法制審特別部会で可視化に難色を示す発言をしています。その背景には、被疑者の言い逃れを許してはならないとの思いのあまり、その取調べの結果冤罪が生まれていることへの反省に欠ける状況があるようです。この問題についての法制審特別部会でのとりまとめが大詰めを迎え、来年の国会には法案が提出されようという時期にあたり、最終的には国民がこうした状況をどう考えるかにかかっている、ということを集会で再確認しました。(H・O)