懲役・禁錮  
2009年11月23日
 いずれも、刑法が単独で刑罰として科すことができることにしている刑の種類です(刑法9条)。刑事施設に収容して自由を剥奪する「自由刑」である点では共通しています。相異は、懲役が刑事施設に収容されるだけではなく、「所定の作業」を義務づけられていることです(刑法12条2項)。といっても、禁錮の場合にも、申出によって作業を行うことが許されており(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律93条)、多くの禁錮受刑者が作業を行っています。もう一つの違いは、懲役が主として破廉恥な動機に基づく犯罪に科せられ、禁錮が政治的な確信や破廉恥でない動機に基づく犯罪に科せられることになっており、同一の刑期の場合には、懲役の方が重いことになっている点です(刑法10条1項、9条)。しかし、「作業」を義務づけるかどうかで、破廉恥罪と非破廉恥罪を区別することには批判もあり、単一化すべきだという意見もあります。刑期の幅は、2004年の改正で、いずれもそれまでの1月以上15年以下だったのが1月以上20年以下になりました(刑法12条1項、13条1項)。また、刑法の規定に従って、加重したり、減軽したりする場合には、それまで、20年以下だったのが30年以下の刑期まで言い渡すことができることになりました(刑法14条1、2項)。減軽する場合に、1月未満に下げることができるのは、従前と変わっていません(刑法14条2項)。