インタビュー「失われつつある検察の信頼 −改められない特捜の組織と体質」 筆者:H・O
2014年8月18日
 
 これまで特捜は、「政治とカネ」をめぐる問題などで政界、財界、官界に鋭くメスを入れ、何回も国民の喝采を受けてきました。ところが郵政不正事件での検事の証拠改ざん・隠蔽が発覚し、信頼が失墜することになりました。いまの検察・特捜はどういう状況になっているのか、元検事の郷原信郎氏が語っています。
 郷原氏は、猪瀬・前東京都知事の5000万円借り入れ問題などをめぐる検察の捜査方針の問題点を示しつつ、そのパワーが落ちている状況を指摘しています。具体的には、特捜は強引な捜査によって事件の解明をはかってきたが、郵政不正事件があったためにそれもできなくなり、最近は特筆するような仕事ができていない、以前はほとんどなかったことだが、特捜の組織的判断が裁判官によって覆されるようなことも起こっている、などの状況を明らかにしています。
 郵政不正事件を契機に取調べの録画・録音(可視化)の制度導入への検討が法制審議会の特別部会で進められましたが、その適用は限られたものになりました。郷原氏は、そのような結果になった背景に、検察はこれまでの捜査について反省や検証に欠けていることがあると指摘しています。

 このインタビューは雑誌「マスコミ市民」2014年7月号(発行:マスコミ市民フォーラム)に収載されています。