座談会録「少年の心に寄り添う審判とは −第4次少年法『改正』批判」(その2) 筆者:H・O
2014年8月4日
 
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 座談会では、少年事件の具体的な状況について佐藤香代弁護士が自らの経験を紹介しています。非行を起こしてしまった少年に付添い人として寄り添い、そして少年が成長していった姿は感動的です。家庭裁判所で調査官として少年たちに接している井上博道さんは、現場の調査官や、そして少なくない裁判官が、少年法が「改正」されてきている中でも、もともとの少年法の理念をふまえて少年審判にあたっていることを紹介しています。そして、そのような実践を広げることが少年たちの立ち直りにつながるとの考えを述べています。
 佐藤弁護士は、少年法「改正」に関わる弁護士会の問題状況についても語っています。それは、今回の「改正」で法務省は弁護士会の国選付添い人拡大要求を受け入れたのですが、その際弁護士会は少年事件への検察官関与が拡大されることに毅然とした姿勢を示せなかったのではないか、という問題提起でした。弁護士会が司法の改革にどういうスタンスで臨むべきかを考えさせてくれます。
 いま最高裁が家庭裁判所自体の再編を検討しているようです。少年審判などのあり方も含めて、国民は注視していかなければならないでしょう。

 この座談会録は雑誌「法と民主主義」2014年5月号(日本民主法律家協会が発行)に収載されています。