座談会録「少年の心に寄り添う審判とは ―第4次少年法『改正』批判」(その1) 筆者:H・O
2014年7月28日
 
 2014年4月、少年法の「改正」が成立しました。この座談会では少年法「改正」の問題点と少年に関わる司法のあり方が議論されました。
 まず、佐々木光明・神戸学院大学教授(刑事法、少年司法)が今回の少年法「改正」のポイントを解説しています。それは、もともと少年法は憲法の理念を具体化するものとして制定され、非行を起こしてしまった少年などを教育や支援によって再び起こすことのないよう立ち直りを図るためのものであること、少年法は2000年に大きな「改正」がり、今回の「改正」も基本的にはその流れに沿ったものであること、2000年の「改正」の要点は、@少年審判における検察官関与等の導入、A少年の刑事処分可能年齢の引下げ、B被害者の権利保障、などであり、総じて少年の厳罰化・重罰化が図られたことを明らかにしています。
 佐々木教授はその上で、2014年の「改正」が検察官関与の拡大や少年に対する刑事処分の重罰化などであったとし、その特徴として、そこには国民の規範意識の強化という政府の治安政策が大きく反映していると分析しています。「ルールを破った者に対しては強い制裁を与えるべきである。ルールが基本的に尊重される社会でこそ、初めて社会の発展がある」「大人も子どもも責任は同じだ。刑罰も教育だ」という政府のメッセージがかなり強く出てきていると警鐘を鳴らしています。

 この座談会録は雑誌「法と民主主義」2014年5月号(日本民主法律家協会が発行)に収載されています。

<つづく>