書籍『レクチャー日本の司法』(その4) 筆者:H・O
2014年5月5日
 
その1その2その3からのつづき>

 本書は第6章「紛争解決システムのアウトライン」で司法機構と民事・刑事裁判の全体像、裁判外の紛争解決手段=ADRの種類や手続などを概観した上で、第7章・第8章「民事裁判のしくみ」で、民事裁判の役割やその流れなどを詳しく説明します。ここでは、契約についての具体的な事例を紹介しながら、権利が侵害された時の救済・権利実現の各種方法と手続き、民事裁判を起こす手続き、民事裁判の審理の流れ、民事裁判の審理の各種原則、判決内容の効力と限界、裁判の承継、上訴、など民事訴訟法の内容を解説しています。そして、第9章「権利実現のしくみ」で民事執行、民事保全や倒産処理の制度とその趣旨、具体的な手続きを解説しています。
 第10章「家庭裁判所の手続のしくみ」では、家庭事件の種類、家庭事件と一般的な民事事件の裁判における取り扱いの違いとその趣旨、家事調停手続、家事審判についての具体的な手続などを解説しています。
 第11章「民事司法のトピックス」では、集団的な権利侵害の救済をはかる選定当事者制度や消費者団体訴訟制度、制度改革や政策変更を求める社会運動の一環としての「政策形成訴訟」などが取り上げられています。
 なお、本書の第5章「司法を担う法律家とその養成」は弁護士、裁判官、検察官、隣接法律専門職の役割・業務と検討されるべき問題、法曹人口問題、法科大学院制度をはじめとする法曹養成制度と検討課題を説明しています。

<続く>
 
【書籍情報】
2014年2月、法律文化社から刊行。編者は川嶋四郎・同志社大教授と松宮孝明・立命館大教授。定価は本体2,500円+税。