座談会録「国会、行政、司法を国民に開けるか」 筆者:H・O
2014年4月7日
 
 「秘密保護法に対抗する道」というサブタイトルがついた座談会録です。日本政府は、情報は基本的には国民に公開されるべきものであるという姿勢に欠けている、ということを明らかにし、それにどう国民は対峙していくべきかが語られています。ここには司法の役割やあり方についての問題提起も含まれています。
 「法廷メモ訴訟」原告として知られるローレンス・レペタさんは、スノーデン氏の事件でアメリカの裁判所が政府の国民監視は憲法に違反するという判決を出したことを紹介し、そこに司法の役割があると述べています。福島みずほ参議院議員は、秘密保護法が制定された状況をふまえ、今後は「片っ端から情報提供せよと果敢にやっていくしかない」と国民が司法に求めていく必要性を述べています。座談会では、日本の情報公開法は不十分で、裁判などで裁判官が非開示とされた情報を見て判断できる仕組み(インカメラ手続き)がない、という問題点も指摘され、法改正を求めていく課題も語られています。
 国民が情報を得て、自由に考え、議論し、行動していくことを萎縮させることが秘密保護法制定の大きな狙いではないかと思われます。いま日本社会は大きな曲がり角を迎えており、国民の司法への向き合い方も問われているのではないでしょうか。
 この座談会録は月刊誌「世界」2014年3月号に収載されています。