書籍『恵庭OL殺人事件 −こうして「犯人」は作られた』(1) 筆者:H・O
2013年2月4日

 北海道恵庭市でOLが殺される事件があり、会社の先輩の女性・Oさんがその犯人だとされ事件=恵庭OL殺人事件とその裁判の経過と問題点が綴られた書です。
 この事件の犯人とされたOさんは一貫して無実を訴えましたが、裁判では有罪が確定し、服役中です。彼女は自分が逮捕・起訴されるにあたっての警察の捜査やマスメディアの報道などに怒るとともに、無実の訴えに聞く耳をもたなかったとして、裁判官に対する強い憤りを表明しています。
 この事件は、職場内の三角関係のもつれから、Oさんが後輩の女性・Hさんを殺した、とされました。つきあっていた職場の男性がHさんとつきあうようになったことを知り、Oさんは「犯行」の直前にHさんに何回も電話をしました。警察はこの行動を特に重くみて、Oさんが犯人に違いないと判断したようです。
 しかし、警察の捜査によってもOさんがHさんを殺害したことを証明する直接的な証拠は出てきませんでした。それどころか、Oさんが「犯行」当日に立ち寄ったガソリンスタンドでの記録から、彼女のアリバイが成立しているようにも考えられます。
 OさんがHさんを殺した証拠もなく、Oさんが無実を主張しているのに検察官はOさんを起訴したのです。

<つづく>

 
【書籍情報】
2012年6月、日本評論社から刊行。著者は伊藤秀子弁護士。定価は本体2,000円+税。