論稿「『発達障害』と刑事司法」第3回 筆者:H・O
2013年1月28日

 被告人に発達障害があることを理由に求刑以上の懲役刑を言い渡した裁判員裁判がありました。そのことをめぐる問題点を綴った論稿の第3回目です(第1回・第2回については以前紹介しました。こちら@A)。
 今回は「発達障害のある人にあっては、重い障害を抱えた人ほど、犯行の様式は眉をひそめるものになりやすい・・・そうするとますます裁判員のなかに、あるいは国民のなかに、疑念が高まる。だから、求刑を超える判決が出てくることは、十分に起こり得る・・・」との精神科医の話などを紹介しています。そして、「精神障害を疑われる事案に関しては裁判員裁判からいったん外すことも、短期的にあってもいいのではないか」との見解もあるとしています。
 筆者としては、プロの裁判官の方が発達障害や精神障害に関わる判断が一般市民よりも優れているとは限らないと思いますので、上記の意見には疑問を感じます。とはいえ、被告人の発達状態や精神状態などの判断は簡単ではないでしょう。このような問題についても市民の正しい認識を広めていく必要があると思います。
 この論稿は月刊誌「世界」(岩波書店)2013年1月号に収載されています。