論考「司法問題(法律時報・学会回顧2012)」(その2) 筆者:H・O
2013年1月21日

前回からの続き>

 2006年に日本司法支援センター(法テラス)が発足しました。すべての人に司法アクセスを提供し、法律扶助を改善していく上で、法テラスという制度とそこで働くスタッフ弁護士の役割・あり方は司法制度改革の重要課題として注目されます。以前当ページで紹介した寺井一弘『法テラスの誕生と未来』はその全体状況を明らかにしています。
 法テラスのスタッフ弁護士や公設事務所に勤める弁護士の司法過疎地域などでの活動が「自由と正義」誌で連載されたことも紹介されています。
 実施されてから3年経過した裁判員制度を検証する論文も紹介されています。松生健「裁判員裁判の理想と現実」(『裁判所は「権利の砦」たりうるか』所収)は、調書偏重の裁判実務が直接主義、口頭主義、公判中心主義の原則の実現に向けて改善されつつある一方で、裁判員の負担や守秘義務の問題、取調べ可視化などは残された課題になっていることなどを指摘しているとのことです。