インタビュー記事「原発訴訟の沈黙を破る」 筆者:H・O
2012年5月28日

 これまで原発に関わる訴訟で国や電力会社側が敗訴したのはわずか2件のみです。そのうちの1件、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる裁判で、名古屋高裁金沢支部の裁判官として日本で初めて国を敗訴とした、元裁判官・川崎和夫さんのインタビュー記事です。2012年5月22日に朝日新聞の「オピニオン」のページに掲載されました。
 川崎さんはこれまでインタビュー依頼はすべて断ってきたそうですが、「昨年の原発事故が起きて、司法の責任も問われる状況の中で沈黙を続けるのは社会的責任を果たしていないとの指摘を受けて、インタビューに応じることにしました」と述べています。
 川崎さんはこの裁判で先端的な技術に関わる裁判の大変さを率直に述べながら、「国敗訴の判決を書く際に、心理的な重圧は感じられましたか」という問いに対して、「・・・『変な判決を書いたヤツだと思われるだろうなあ』という思いはありました。それがプレッシャーといえばプレッシャーでした。・・・」と語っています。そして、「川崎さんの判決の意義は?」との問いには、「国側を敗訴させた珍しい事例の一つとしての意味はあると思います」と答えています。
 全体的に淡々とした受け答えですが、そこには司法への国民の期待に応えようとした、その裁判官としての姿勢を感じさせてくれます。また、多くの裁判官が原発に関わる訴訟にどのように臨んでいるのかも垣間見ることができます。