論文「憲法をどう教えたか
−足利事件発生当時の新聞記事を使った「人身の自由」の授業を中心に」
筆者:H・O
2012年4月16日

 高校3年生の「現代社会」の授業実践経験の報告です。
 女児が殺された足利事件で被疑者となった菅家利和さんはDNA鑑定結果などによって無期懲役となりましたが、再審で無罪になりました。筆者の小林教諭は、菅家さんが逮捕された当時の新聞記事を生徒たちに読ませ、感想を書かせ、生徒同士で議論させました。そして、足利事件と類似する飯塚事件の被告人はすでに死刑を執行されたことを紹介しながら、死刑の是非を生徒たちに問いました。
 授業を通して、多くのえん罪事件があること、警察の捜査やマスコミの報道には問題もあること、などを生徒たちが気づくことになりました。
 憲法の「人身の自由」の趣旨については大人の理解・認識にも不十分さあると言えるでしょう。高校などでのこうした授業を通して、刑事司法の本来のあり方などへの理解・認識が広がることが期待されます。
 高校生の認識がリアルに報告されている論文です。

 
【論文情報】
全国民主主義教育研究会編『3.11福島原発事故以降の授業づくり』(2012年、同時代社)に所収。筆者は小林孝生さん(神奈川県立高校教諭)