書籍『法テラスの誕生と未来』 筆者:H・O
2011年12月19日

 法テラス=日本司法支援センターは、市民が司法をより利用しやすくすることなどを目的に、2006年に設立されました。その理事長を務めた寺井一弘弁護士が、法テラスの誕生の経緯と目的、そのとりくみの到達点と改革課題を整理し、問題提起する書です。
 法テラスができて、市民の司法へのアクセスの改善はどのように評価されるのでしょうか。法テラスのことについては市民サイドから率直な意見・要望などがまとめられ、それをふまえて更なる改善がはかられる必要があると思われます。本書は法テラスの現状を市民に示すものとなっています。
 法テラスは、経済的な困難をかかえる人々の法律相談にあたってのサポートもしています。また、市民が逮捕されてしまった直後から弁護士がサポートする被疑者国選弁護なども担当していますが、これらの仕事が市民からどう評価されているのかも注目していきたいものです。
 法テラスについての市民の議論が広がることで、市民本位の司法への改革も進むことになるでしょう。本書がその契機になって欲しいと思います。
 本書では、資力のない人々が司法を利用する際の公的サポートについての諸外国の状況も詳しく解説されており、日本における改革を考える上で参考になります。

 
【論文情報】
2009年、岩波書店から刊行。著者は滝井繁男弁護士(=元最高裁判所判事)。定価は本体2,800円+税。