書籍『テキストブック 現代司法(第5版)』 筆者:H・O
2011年9月5日

 司法制度とそれをめぐる諸問題をトータルに解説する書です。
  目次を追ってみると、「司法は誰のためにあるのか」(第1章)から始まり、「法律問題を扱う人々」(第2章)では「弁護士」「裁判官」「検察官」などとともに「司法書士」などの専門家を解説し、「法科大学院と法曹養成」も記述されています。「日本の裁判を考える」(第3章)には「民事」、「刑事」、「行政」の各裁判と「裁判外の紛争処理」が盛り込まれ、「現代司法の環境」(第4章)で「司法権の位置づけと仕組み」「裁判官の置かれた状況と統制」などが展開され、第5章の「裁判員制度」へと続き、第6章「これからの司法のために」で結ばれています。
  全体的に司法を市民本位のものに改革していこうという視点にもとづいて書かれています。この書の初版は1992年に刊行されましたので、それは今般の司法制度改革に大きな影響を与えたと評価されると思われます。
  この書は、全体的に司法の諸制度を諸外国との対比でき、また諸制度が歴史的にどのように確立してきたのかも含めて解説しているところにも特徴があると言えます。今般の司法制度改革による、裁判員制度や法テラス制度、法曹人口増と法科大学院制度などについても歴史的に理解できるものとなっています。

 
【書籍情報】
2009年、日本評論社から刊行。著者は、木佐茂男・宮澤節生・佐藤鉄男・川嶋四郎・水谷規男・上石圭一の各氏。定価は本体2,800円+税。