〜法を身近に感じてみよう〜「法の日」フェスタ(10/4)  
2014年10月6日
 10月4日、「第55回『法の日』週間記念行事 『法の日』フェスタ〜法を身近に感じてみよう〜(10/4))」が東京都千代田区・弁護士会館)で開催されました。最高裁判所・法務省・最高検察庁・日本弁護士連合会が共催しました。
 冒頭、日弁連副会長の高中正彦氏が「法の日」について説明し、続いて映画『家路』の上映がありました。この映画には、東日本大震災・福島原発事故で被災し、自宅と農地から切り離され、仮設住宅での生活を余儀なくされた家族が描かれています。
 上映のあとトークイベントが行われ、この映画の監督・久保田直氏やジャズシンガーの綾戸智恵氏、現地福島弁護士会の頼金大輔弁護士、いまも定期的に福島を訪問している加畑貴義弁護士(東京弁護士会)が、この映画や福島での被災者支援の経験を話されました。
 綾戸氏は、自らの阪神淡路大震災の経験を語るとともにこの映画を絶賛しました。久保田監督は震災直後に、このことを風化させてはいけないとの思いからこの映画を制作したこと、長く観てもらいために家族の物語にしたこと、など制作の意図を話されました。
 弁護士の法律相談の経験も興味深いものでした。法律相談では、従来であれば法律相談の内容でないことも門前払いすることなく聞いて差し上げる大切さが強調されました。
 「遠方の孫が遊びに来てくれない」「山菜を取りにいけない」と訴えるお年寄り。「(状況を知っている同じ)福島の人しか、お嫁にもらってくれない」と嘆く若い女性。いままで広い家に住み慣れた人が狭い仮設住宅に住む苦痛、仕事がなく、やることがないストレス、など被災者の声や心情が紹介されました。
 被災者は、それぞれが大事にしてきたものやその人の背景も違います。悩みも違います。ですから被災者をひとくくりにしない視点の大切さが語られました。「帰りたい、帰りたくない」という当事者の要求の違いを法律で無慈悲に区分けし、取り扱ってはいけない、100人いたら100人の選択がある、とのお話が印象に残りました。「法を身近に感じる」ということの意味を被災地の現状から浮き彫りにするイベントでした。(T.S)