今こそ司法を国民、市民の手に!〜元裁判官からの提言  
2014年6月23日
講演会「今こそ司法を国民、市民の手に!〜元裁判官からの提言」(6/14)
 さる14日、伊藤塾東京校(渋谷区)で、第221回「明日の法律家講座」が開催されました。講師は、1979年に任官し2年前まで東京地裁や最高裁事務総局等に勤務された瀬木比呂志さんです。現在は明治大学法科大学院専任教授として民事訴訟法などを担当しています。
 
 本年1月に刊行された「絶望の裁判所」に沿って、時に敷衍しつつ講演されました。瀬木さんは、多年の経験を踏まえて、日本の裁判官は基本的に、権力に仕える「役人」であり、制度の「しもべ、囚人」に過ぎないと断じました。制度の頂点にいる最高裁長官と最高裁事務総局は、全国に広がる裁判官の転勤システム、ピラミッド型のヒエラルキー構造を利用して、裁判官たちに終わりのないラットレースを競わせ一枚岩の閉じられた世界を作りあげているとのことです。長く劣勢にあった刑事系裁判官が竹崎最高裁長官の下で、裁判員制度という司法改革を悪用して裁判所の支配権を握り、かつてない情実人事で末端の人事まで統制のシステムを貫徹させた現在の路線は、今後も変わらないであろうと予測しています。
 そうである以上、現在の裁判所自身にはもはや自浄能力はなく、外部から法曹一元制度(裁判官は弁護士経験者の中から採用する)採用の声を上げる根本的な改革が必要だと強調されました。また、本書は、司法という狭い世界を超えた日本社会全体の問題の批判的分析をも意図していると紹介されました。発売以来大きな反響を呼んでいます。是非ご覧いただきたいお薦めの書籍です。(HT)