みえない手錠をはずすまで −映画「SAYAMA」  
2013年10月14日
映画「SAYAMA」試写会
 殺人事件の犯人として逮捕される人を、多くの人が極悪・非道な奴だと決め付けます。冤罪事件の報道などに接して警察や検察の捜査は酷いと憤慨することがあっても、新たな事件報道を見るといとも簡単に態度をコロッと変えてしまう場合も多いようです。
 そんな人々の意識状況がある中で、実際に殺人事件の犯人として逮捕され、裁判でも有罪となった人がどんな人なのかをリアルに伝えることは、いよいよ重要になっているように思われます。もちろんそのような人々の中には、まさに極悪・非道な人がいるかもしれません。しかし、あくまで無実・無罪を訴える人もいます。なかには往生際が悪い人もいるかもしれませんが、まずはその人がどんな人なのかを先入観なく見る目を持ちたいものです。
 このドキュメンタリー映画「SAYAMA −みえない手錠をはずすまで」は、女子高生殺害容疑で逮捕され、裁判で無期懲役が確定した、いわゆる狭山事件の石川一雄さんの素顔を描く作品です。石川さんが自らの無実を訴えるシーンもありますが、全体的に仮出獄後に結婚した奥さんとの日常的な姿を描かれています。食べ物を残さずに食べ、食器を洗い、掃除する、身体を鍛えるためジョギングをする、といったその様子から、決して極悪・非道ではなく、実はごくごく普通の人なのだ、とこの映画を観てびっくりする人も多いのではないでしょうか。
 石川さんは仮出獄していますが、まだあくまで無罪を求めてたたかっている最中です。その心境が「みえない手錠をはずすまで」ということなのでしょう。
 無実を訴える人の言い分がなかなか通らない、その司法の現実の一端を学ばせてくれる作品が新たにできました。
 
 映画「SAYAMA −みえない手錠をはずすまで」は、次のように今後各地で上映されます。くわしくはこちら。(H・O)

10月31日(木)東京、11月3日(日)京都、11月9日(土)滋賀、11月12日(火)兵庫、11月13日(水)大阪、11月15日(金)福岡・・・