新刊紹介 菊田幸一著『刑事司法―逮捕・裁判・服役そして社会復帰』
(勁草書房刊・定価3200円)
 
2011年10月17日
菊田幸一さん
(監獄人権センター副代表、弁護士、法務省行刑改革顧問会議委員、 明治大学名誉教授)

 道路交通法違反を含めて、現在の日本で毎日ほぼ7000件の犯罪が発生している。このうち実際に検挙さるのは年間30万人ほどであるが、こられの数字をみても、だれもが「私は刑事事件とは無縁である」と思うのは間違っている。自ら犯罪を犯さなくとも事件現場にいただけで犯罪の疑いをかけられることもある。
  著者は、事件発生から逮捕・起訴・裁判にかけられ、不運にも刑務所へ収容されたときなどに、どう対処すべきかを具体的に述べている。むろん、それは権力から要領よく逃れる知識を提供するためではない。正当な扱いを受け、自らの責任の範囲内でそれに対処するにしても、単にそれに耐えるだけではなく、その経験をその後の生きざまにどう役立たせるかの転換の素材おも提供しようとしている。
  刑務所へ収容され、そこが「どれだけ不条理な世界であろうと,そこに居場所を見付けて生きていかなければならない時もある」。受刑者からの相談に触発されて本書は書かれた。
  興味ある箇所から読めば、引き込まれることは間違いない。

 
【菊田幸一(きくたこういち)さんのプロフィール】
1934年生
1957年3月 中央大学法学部卒業
1964年3月 明治大学大学院博士課程修了(法学博士)
        明治大学大学院在学中に法務省法務総合研究所勤務、
        明治大学法学部専任講師、同大学法学部教授(定年退職)等を経て
現在     監獄人権センター副代表、弁護士、法務省行刑改革顧問会議委員、
        明治大学名誉教授
 
<編集部より>
受刑者をめぐる諸問題についての連続講座が始まっています。次回は10月29日(土)に伊藤塾東京校にて開催されます。下記ページでご確認ください。
http://cpr.jca.apc.org/about/event#1060
第1回の講座は下記ページで動画配信されています。
http://bb.itojuku.net/iclass/open/103.jsp?p_dclsid=00005590&p_dboxid=00000212