お勧めします「日本国憲法と裁判官」  
2011年1月31日
石渡照代さん(J−ネットファンクラブ運営世話人代表)

 法学館憲法研究所主催の講演会「日本国憲法と裁判官」が、講演録集として日本評論社から出版されました。A5版で476ページ、定価は2.940円(本体価格2.800円)です。
  手にすると、確かに分厚いし、近寄りがたいイメージがまず先にきてしまう‥‥。
  ですが、読んでみて大変親しみやすい内容だと私はびっくりでした。日本裁判官ネットワークが縁となって存じ上げている元裁判官が半数近くいらっしゃるから、ということもあるかもしれませんが、読み進むとそれは違うことに気付きました。
  この本は聴衆に語られたのがベースですが、活字になっても講演の雰囲気が伝わってくるのです。私は講演会には一度も行きませんでしたが、まるで私に語ってくださっているような気分を味合わせてくれます。中身は重厚なのに、大変読みやすいのです。元裁判官が語る「裁判所におけるジェンダー・バイアス」、「失敗という視点からみた裁判と司法行政」、大河小説「裁判官物語」の作者は語る、一時代を画した「和解」、「本人訴訟のこと」などなど、興味あるテーマ、好みの(?)著者からつまみ読みをすることもできます。ファンクラブとの交流に触れたものもありました。

  以下、敬称略でお名前を紹介します。編著・守屋克彦、著者・石松竹雄、安倍晴彦、下澤悦夫、花田政道、福島重雄、山口 忍、東條 宏、丹羽日出夫、梶村太一、大石貢二、井垣敏生、園田秀樹、矢崎正彦、山田真也、堀内信明、須藤 繁、虎井寧夫、安原 浩、伊東武是、有満俊昭、宮本康昭、鈴木經夫、喜多村治雄、浅田登美子、和田忠義、北澤貞男、石塚章夫、小林克美、山口毅彦の皆さんです。
  「1970年代前半、裁判官に対する激しい政治的干渉は『司法の危機』といわれた。この時代を体験し、良心と独立を守り続けた30人の元裁判官が、その歴史と自らを語る珠玉の証言集。」(「 」内は法学館憲法研究所HPから)

(「J−ネットファンクラブ」のご了解をいただき、同通信46(2011年1月号)から転載させていただきました。)