傍聴の機会を広げる工夫を!   投稿者:H・Tさん(会社員) 2009/11/24
 “百聞は一見に如かず”とまでは言わないまでも、この目で裁判員裁判を確かめようと東京地裁の傍聴券交付所に並んだのは10月上旬。その時は競争率3倍で、あぶれた。11月18日、再度東京地裁に挑戦。今回の傍聴席は前回より多い38人。しかし、またもやはずれ。運命の神は微笑んでくれなかった。並んだのは158人だから、前回よりも倍率は上がっていた。
倍率が上がったのは、準強姦致傷罪という比較的珍しい事件の初日だったからかもしれない。睡眠薬を飲ませた女子中学生に乱暴してけがをさせたとして起訴された元タクシー運転手の事件である。前回並んだときは殺人罪の事件で、背広姿の男性が多かった。今回は前回より若い層が多く、ラフな服装の人もけっこういた。女性は2〜3割だった。多彩な層が犯罪やそれに対して科する刑罰の実相を知り、考える機会を持とうとしているのは、市民のための司法を創っていくうえで非常にいいことだと思った。興味本位の人がいたとしても、傍聴して生のやりとりに接すれば、考えが深まっていくことが期待できるのではないだろうか。
それにしても、傍聴しない限り、裁判員裁判の実態を知るには、基本的にメディアの報道しかない。そして、それに接すると、信用してしまうのは人情だ。裁判員制度は始まったばかりなのでなおさらである。しかし、考えてみれば、メディアは他の問題と同様、人権の砦である司法が抱えている諸問題をこれまで的確に伝えてきたとは言えない。新しく始まった裁判員制度についても、鵜呑みにするのは危険だと思う。
法律家による検証も始まっているが、私たち自ら傍聴してどう変わったか見てみたい。傍聴は裁判員を含む司法機関を監視する市民の権利である。せっかく多くの市民が傍聴を希望しているのだから、一般論として、裁判所は大きな法廷を使用するなど、希望に答えるためにもっと打つ手はないのだろうか。